ももまま

彼らが本気で編むときは、のももままのネタバレレビュー・内容・結末

彼らが本気で編むときは、(2017年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

「もう、リンコさんのような心の人に惚れちゃったらね、あとのいろいろなことはどうでもいいんだよ。」

トランスジェンダーの介護士女性リンコと、書店勤務マスオの元に訪れた小学生の少女トモの心の交流を描く。

シングルマザーの母親からネグレクトを受けて、毎日1人孤独にコンビニおにぎりを食べる少女マキ。
小学校の子供達の閉塞感、差別意識、無知さがリアルで、子供時代というのはある意味命がけだなぁというリアル感がある。

リンコのような存在は、いまこの時代においても、小学校やPTAといった閉鎖的な環境では色眼鏡で見られてしまうだろう。

ある意味、リンコとマスオの2人の関係において、既に信頼に基づく愛情関係は揺るぎなく構築されており、問題はない。

しかし少女マキという第三者を家族に迎え入れようとした時、トランスジェンダーという存在に対し容赦ない詮索の目を世間から受けることになる。

これは社会が未成熟であるということであり、いろんな国で同じような問題で悩み苦しんできた人々がいることだろう。

この映画の良さは、トランスジェンダーのリンコへの共感を通じて、自然にそうした悩みを持つ存在への理解が深まることだと思う。

性の多様性を考えた時、

心が男性的な女性、
心も身体も男性である事しか受け入れられない女性、
心が女性的な男性、
心も身体も女性である事しか受け入れられない男性、
男性的である事も女性的である事も、違和感を感じる両性的な人、
男性でありなおかつ男性を愛する人、
女性でありなおかつ女性を愛する人、
女性であり男性を愛する人、
男性であり女性を愛する人、

みな全て平等に、尊重されるべきである。

カテゴリ化された性差を超越して愛することができる存在ができたなんて、それこそが人生で一番幸福なことなのだから。

人の心の中や閉鎖的な社会の組織にある、ササクレのような「異なる存在に対する違和感」のようなものが、このような映画で消失していくことは、日本社会によって間違いなく良いことだろう。

少女マキの演技がとても良かった。
コンビニおにぎりは、心の栄養にはならないよね(*´-`
ももまま

ももまま