ウォレス

彼らが本気で編むときは、のウォレスのレビュー・感想・評価

彼らが本気で編むときは、(2017年製作の映画)
5.0
普通でいることって、どういうことでしょうか?
何も異常がないこと、変じゃないこと…

男性の身体に女性の心を持って産まれ、「普通」というよくわからない概念に苦しめられ、それでも自分らしく強く生きるリンコさん。
彼女を心から愛する婚約者のマキオ、そしてネグレクトを受ける小学生の女の子トモ。
共に過ごすことになった彼らの日常を描いた作品です。

驚くほど心に響く映画でした。
正直今まで見た邦画で一番好き。
もう色んな感情が巻き起こって、色んなことが伝わってきて、色んなことを考えさせられて、こんな良い映画を観れたのは久しぶり。

かといって、映画自体はそれほど重くなく、微笑ましくて楽しめるし、笑えるし、ホロっと感動できてとても見やすい。
何度でも見たくなるような映画です。


「あんたのママはたまに間違う」
世間ってほんと、たまに間違ってるんです。
本当の母、それ以上の温もりでトモに接するリンコさん。
髪をとかし、キャラ弁を作り、一緒に買い物に行き、帰りが遅い日には誰よりも彼女を心配する。
温かく、溢れるような愛情をトモに注ぐリンコ。

そんな彼女は、おかしいのでしょうか?愚かなのでしょうか?面白いでしょうか?
母親になるべきではないのでしょうか?

…そんなことはトモの言葉を借りるとすれば「絶対、絶対、絶対、絶対に!間違っている」。

世界にはまだまだそれに気づいてない人が沢山います。

そんな人々に少しでもこの映画が届けば良いなと願うばかりです。
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