井出弐等兵

さや侍の井出弐等兵のレビュー・感想・評価

さや侍(2011年製作の映画)
2.0
つまるところの劇場版「働くおっさん」


松本人志による「いじり芸」
野見隆明の本気か正気か分からない渾身のギャグの切れ味は、日本刀をも凌ぐ魅力にあふれている。

これまでの松本作品と比べて、思っていた以上に観やすくなっていたのには驚いたが、逆に働くおっさんシリーズにあったような狂気は影を潜め、それなりなお笑いになっていた気がする。

説明臭くて余計なシーンが多くてノリずらく、作品のテーマや個々のシーンはそれなりに面白かったにも関わらず、物語全体の印象は「長かった」ように思えてしまった。

それはつまり、最高のコントを繋げたからと言って、最高のコメディ映画になるという事ではなく、一番の見せ場に至るまでの流れこそが重要なのだと実感する。

映画全体の構想やメッセージが良かっただけに、映画としての語り口の拙さが非常にもったいなく感じた作品。