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ドラゴン・タトゥーの女のcinecoroのネタバレレビュー・内容・結末

ドラゴン・タトゥーの女(2011年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

全く思い入れのない状態で原作もオリジナルも未見、しかも続編『蜘蛛の巣を払う女』から観てしまった。蜘蛛の巣を〜もとても面白くて、こりゃシリーズ全部観なけりゃ〜と楽しみが出来た。
本作が公開されていたときもルーニーマーラのただならぬ容姿に…ルーニーちゃん…?と不安になったものだがこんな闇深い謎解きサスペンスものだとは思っていなかったのでうれしい発見だった。ただ今作を観てキャストを一新した続編に憤ってる皆様がおられるのもよくわかる、だって全然別物、別人なんだもの。その点、続編から観てわ〜主役の子かわいい!立ち回りも爽快!と無邪気に喜んでいられた自分は幸せだったかもしれない。
さて本作は主軸にあるのは謎の失踪事件だとしてもやはり主役はリスベット、彼女という人間をとことん観察し、最終的にはもう胸が熱くなるくらい入れ込んでしまいました。続編と比べても、身体能力的にもハッカー能力的にも天才的というにはあまりに非力、女性的な弱さを持った人間リスベットとして描かれていて、だからこそ女性を蔑みモノ化して己の愉悦の道具として貶める者どもを片付けていく姿が危なっかしくもヒリヒリと凍てつくような切なさを持って感じられ、とても良かった。
また並行するテーマとして、ミカエル調査の段階で既に惚れてる節のある恋心、というのも切なさに拍車をかける。普通に考えたらいくらダニエル・クレイグといえ40代のおじさんと23歳の関係はキモすぎる、と思うけど、リスベッドの年齢とかじゃない色んな境界が曖昧な感じで見事にその辺は薄まって、ひたむきに彼を助けようとする姿に心打たれる。真犯人との対決の場面、やけにあっさり終わったなと思ったけど、リスベットが手を下さなかった事が大事だったのかな。とはいえラスト、急に少女的なセンチメンタルをぶち込んで来たのがちょっと面食らった。映画館に行かなかったのが悔やまれるけど選択のハードルが低いVODのおかげでこんな嬉しい出会いがあって良かった!
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