エイプリル

エル ELLEのエイプリルのネタバレレビュー・内容・結末

エル ELLE(2016年製作の映画)
2.0

このレビューはネタバレを含みます

いろんな人物がたくさん出てくるのですが、結局のところは主人公の葛藤の解消一点突破だけを描いた映画になります。
作品のストーリーラインは、主人公の家に忍び込む犯罪者の正体を突き止めようとする主人公、というものになっているのですが、正体不明の犯罪者が登場しているのに異様なくらいにその犯人に不気味さがありません。これは主人公の考え方がもっと不気味なのでそう感じてしまうのですが、彼女の執拗なまでの他人に対する偏見とか嫉妬は全て親子関係に還元されます。
所々母や父との関係性の中における葛藤を描くシーンが出てくるのですが、終盤の方でどっちも死にます。親が死んだ後の主人公なのですが、今まで囚われるように感じていた他者への鬱屈した偏見が取り払われて、浮気もやめて、嫌いな息子の結婚相手との和解し、自らも受け入れていた犯罪者による屈折した暴行行為もあんなに忌み嫌っていた警察に報告しようとします。
いろんな人間関係や犯罪行為のミステリアスさに覆われていますが、結局のところ親が死ぬことによって精神的に解き放たれる主人公、というものを描いた映画なのかなと思いました。
そう考えると悪くないテーマ、悪くない展開のように思うのですが、伏線を序盤に張って、後半にそれを回収することに命をかけているような感じのプロットになっているので、映画的な面白みがほとんどありません。過去に見た映画では箪笥とか幻肢に近い感覚を持って調べてみると小説が原作の映画でした。小説原作の映画はこういう作りのものが多いように思うのですが、伏線回収に全ての力を注ぐタイプの映画はあまり見栄えせず、個人的には好みじゃないな…と改めて思いました。
フランス映画の中ではわかりやすい方だと思いますので、確かにフランス映画入門編としてはおすすめできるように思います。
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