阿呆

しゃぼん玉の阿呆のレビュー・感想・評価

しゃぼん玉(2016年製作の映画)
4.9
宮崎の景色がひたすらに美しい
殺人を肯定することはないけれど、人間を、生きることを、肯定する暖かさ

ばあちゃん(市原悦子)の、人を寄りかからせない態度がよく、それから笑い声がとても嬉しくなって、思わずつられて笑ってしまう人柄

若い命の恩人を拾って、最初はエゴのような何か、あるいは追い出す必要性も感じなく住まわせてみたんだろうか
"子"と"親"、親から受けた孤独は、子供にとっては重大な傷になっていて、そんな傷を負った伊豆見(林遣都)を、自分の息子と重ねて、彼女もまた、罪滅ぼしのような暖かさを注いだのかな
ともあれ、お互いの罪滅ぼしが、暖かく、浄化していって、お互いがお互いの帰る場所になっていく

伊豆見はミチの傷を、ばあちゃんは息子の傷を、相手の傷を理解するってとても大事だとわかる作品

ああ、人間っていいなぁ
諦めなければやり直せるなぁ
新しい出会いに希望を持つって素敵だなぁって思った

林遣都の回想シーンでの目は大分鬱々しくて怖かったですね
殺人を犯しても、ちゃんと水道の蛇口はしめるんだぁってなんだか当たり前のことに感心。笑
でも彼はやっぱり、田舎でもなんでも落ち着いて、毎日を誰かと一緒に過ごせれば、それであんなに幸せそうになるんですよね
"逃げる"のはよくないけれど、前だけじゃなくて、後ろへ、斜めへ、どこか遠くへ、"進"んでみるのはとってもいいこと

この映画のヒロインは柴犬
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