パリ・シネマテークフランセーズの配信プラットフォーム「HENRI」にて。2月15日まで無料配信されている。
とても緻密に構成された作品。3つのパートの最初の2つは陸前高田の住民を記録した映像とともにその方たちのモノローグが入る。このモノローグは証言記録ではなく朗読のような形式。3つ目のパートでは、花畑を運営する住民の方々を記録しながら、その住民の言葉を語り直す形で瀬尾さんのモノローグが流れる。
土地に根差した記憶を語ること。朗読はほとんど祈りのように聞こえる。
重機やベルトコンベアの映像が、進んでいく時間と変わりゆく土地を映していくが、声が語るのはあの日を起点としてとどまったままの時間、そして過去へと巻き戻っていく時間である。過去と現在、死者と生者が重なり合い共鳴し静かに響いてくる。
「どこに戻ったらいいのか分からなくなる。」と言う鈴木さんの言葉が忘れられない。