心の深い傷から「乗り越えられない」からその場所から離れたい…と、もがき苦しむ人に寄り添ってくれる、そんな映画でした。小さな一歩を踏み出す。ほんの少し良くなる。少しづつでいいのですよね。少しだけ光が差し込むことを良しとしよう。それでさえ難しいことかもしれないけど、無理しない範囲でね。
ジャケ写のシーンで見せてくれる2人の迫真の演技がまーすごかった…（多分あそこのシーン）。街角で偶然ハチ合わせたケイシー・アフレックとミシェル・ウィリアムズが交わす会話に引き込まれてしまいます。辛かった、だから私もあなたも心が壊れたしでも今は後悔している、恨んでなんかない……。とても複雑な気持ちが一気に交錯する2人の演技に胸が締め付けられます。
兄の訃報をきっかけに生まれ育った故郷に帰ることになった主人公。時折フラッシュバックのように過去の記憶が流れ、故郷を離れることになった理由が明らかになっていきます。
ヒューマンドラマだけどありがちな感動やカタルシスをもたらさないし、派手さもないし、大きな盛り上がりがあるわけではないけど、心に深く何かを残してくれます。
ちなみに「マンチェスター・バイ・ザ・シー」は地名なのですね。イギリスではなくアメリカのマサチューセッツ州にある小さな海辺の町。ニューハンプシャー州の「マンチェスター」と地名が被ってたために改名したのだそう。町を囲む海の静かな波音が穏やかな気持ちにさせてくれる美しい情景が素敵でした。
