mofa

マンチェスター・バイ・ザ・シーのmofaのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

【乗り越えられない人生もある】

実は、前に挫折した作品です。
スカパーでやっていたので、観てみた。
そしたら・・・。
子供3人を巻き込む火災の辺りが辛過ぎて、前回は、そこで観るのをやめてしまった。今回はスカパーでしていて、
そうなる展開が分かっていたので、観てみた。

パワーをくれそうな力強いメッセージはなく、どこまでも冷静で冷たい。
まるで、マンチェスターそのもの。
過去に大きな過ちをおかしたリーを、簡単には受け入れてはくれない。
でも、それでいいと思う。この映画は最後の劇的変化で観客に印象付けることよりも、あくまで現実的でシビアである。 自らの過失で失った子供の命の代償は、一生続くものであり、リー自身許されることを望んではいない。
けれど、マンチェスターに戻り、過去の自分と相対している中で、その現実を真正面から受け止めなければならないという事に気付いたのではないかと思う。
自暴自棄になり、酒に溺れて、自分や人を傷つけていく事が、正しい償いではないと、リーは知ることが出来た。

結局はマンチェスターにはいられないリー。けれど、それは、彼が何も変わってないワケではなく、
マンチェスターごと心に抱えながら、これからも生きていくということ。
その覚悟が出来たのだと思う。


数年の間に、元妻のランディは、
再会したリーに、謝る。
その謝罪を居心地悪そうに、そんな事は必要ないと、嫌がるリーが印象的である。娘たちを追いやった自分を殺してもいいくらいなのに。
自分が自暴自棄になっていた数年と、
ランディが乗り越えてきた同じ月日。
自分がいかに、現実から目をそらしていたのかに気付いた瞬間だった。

ケイシー・アフレックの素晴らしい演技と、マンチェスターの美しい風景。
そして、美しさだけでない厳しさや冷静さまで、表現されていた。

ルーカス・ヘッシズも良かったけど。
あんな素晴らしい弟想いの父親なのに、子供がどーして、こんな女遊びに走ってしまってるのかが、納得いかなかったけどね。
mofa

mofa