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マンチェスター・バイ・ザ・シーのtontonのレビュー・感想・評価

4.1
死んだ兄の遺言から、甥の後見人になった弟。
時系列を入れ替えた物語から徐々に見えてくる、彼の大きなトラウマ。
それと共に現在進行形の話の中では登場人物たちの会話がどこか噛み合わず、静かにどちらかを傷つけたり過去の傷をえぐるさまも。
その過去と現在が徐々に一致していくようで、物語はどんどん後悔を描いていくかに見えた。
だがそんな主人公を救おうとする人間が現れた、それは亡くなる前の兄だった。
この遺言もそんな彼の行動の一つなのだろう。

そんな中、主人公が出した結末。
あの日、幼い甥が笑顔を見せた事に喜ぶ主人公。
時は立ったが、同じシチュエーションで笑顔を見せるのは甥ではなく、主人公だった。
なにも乗り越えなくても、傷を癒さなくても、変化もしなくても
新たな喜びや希望は生まれるのだろう。

あとなによりも編集のリズムの良さが物凄く良い。
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