兄の死を機に帰郷することになった男の物語。
話自体はある一点を除けば、ほんとにほんとに地味な映画です。
冒頭から、死んだ魚のような目をしたおっさんの日常が映し出され、このおっさんが主人公で大丈夫かと心配に・・・
ちょいちょい挟まれる過去の出来事で、なぜ死んだ魚のような目になってしまったかの真相が語られる。
・・・・もう、その真相がはっきりするシーンは胸が張り裂けそうだった。
明らかにいろんなものが欠如している主人公のリーと、沢山の友人や恋人に囲まれリア充感満載のパトリック。
そんな対照的な二人のやりとりが、ほんとにリアルで、微笑ましくて、切ない。絶妙な距離感がたまらなかったです。
過去の罪の十字架を背負って、心がまさに「冷凍」状態のリー。そのカチンコチンに凍りついた心が、自然解凍していく物語。物語の後半、船の上でかすかに微笑んだリーをみて、涙が、、、
全体を通して、会話や人物描写が嘘くさくなく、緻密で、素晴らしい。
リーと元嫁の会話シーンは、この映画の白眉。いやいや二人の演技に脱帽でした!
ラストのシーンは、賛否両論あるかもしれないけど、僕はあれで良かったと思う。
他の方のレビューでは、最後のショットは、死んだ兄の目線なんだとのこと。
そう考えると、あぁ・・・
マンチェスターの海に抱かれて、人生は今日も続いて行く・・・