「逃げる」という選択をするために、どれほど苦しんだのだろう？
兄が亡くなり、それによって自然発生的に生まれた責任。
故郷にいる兄の息子をどうするのか。
故郷には思い出したくない辛い記憶があるし、それと向き合わざるを得なくなる。
その苦しみを受け止めながら、新たな責任を負っていくのか、
それとも記憶からも、責任からも逃げて、いつもの生活に戻って行くのか。
その葛藤を約２時間、ドキュメントのように追いかけていく。
不器用な主人公をケイシー・アフレックが熱演しているが、
本当に、ケイシーが悩んでいるんじゃないかな？
と思うくらいリアリティに満ちた素晴らしい演技。
今のなかに過去の記憶を時々挟みながら、主人公の気持ちが徐々に
痛いくらいに伝わってくる構成も素晴らしかった。
最後、彼の心は既に決まっていたんだろうな。
心の動きを繊細に描く、名作だと思いました。
