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ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツの3110136のネタバレレビュー・内容・結末

3.0

このレビューはネタバレを含みます

世界的ハンバーガーチェーン、McDonald's(マクドナルド)が拡大していく様子を、その中心人物のレイ・クロックにフォーカスして描いた物語。「Based on a true story.」実話に基づいた脚本となっています。

多分リアルに描いていて、マクドナルドの「美談」になっていない点、見てて気持ち良い!

ちなみに皆さんマクドナルドを利用したことはありますか?私はあります。人口の1%が毎日マクドナルドの商品を食べているそうです。仮に80億人として、1日8,000万人という計算。すげぇ。日本人が1億人として、1日100万人。日本はもっと率は高いだろうな。

2017年の作品。1時間55分という長さだけど、どんどん話が進むのであっと言う間でした。これ以上長くするのも難しいと思いますが、全体的に薄いとまでは言わないですが一通り表面をなぞっていったという感じでしょうかね。「執念」という言葉が出てきますが、そんなに「執念」が描かれている感じはしなかったかな。※もちろん「執念」なくして、この成功がなかったことに異論はありません。


●執念
こんな言葉が出てきます。


(なぜマクドナルドが成功したか?)
答えは1つ

「執念」だ

世の中に「執念」に勝るものはない
「才能」があっても成功できない者はゴロゴロしてる
「天才」も報われないのが世の常だ
「学歴」も賢さを伴うとは限らない
「執念」と「覚悟」があれば無敵だ


レイが聞いていた自己啓発系レコード「ポジティブの力」の一節です。レイはきっと毎日これを聞いて、自分に言い聞かせてきたんでしょうね。

これを突き付けられるとドキッとしてしまいます。「お前はホントにやりきったのか?」と言われているようです。上司にたまに言われる(苦笑)。僕は頭が悪いから、私は運動神経が悪いから、環境が悪いから、いろんな言い訳があるけど「執念があったか」と問われると皆さん「あった」と言い切れることってどれくらいあります?私は自信ないです。

レイ妻「いつ満足するの?」
レイ「たぶん一生しない」

でも逆に考えれば、成功には「執念」が大事なのであって「天才」である必要はないわけですね。成功を目指す皆さんはこの言葉を胸に頑張ってください!

ただ、少し上にも書きましたが、映画のストーリーとして意図的に「執念」を表現するシーンは少なかったような。あ、でも自宅を担保に借入をしている時点で執念なのかな。色々な困難がありつつも、割と難なく解決している感じ。実話なので変にドラマチックに演出してもいけませんが。

最後には離婚してしまう奥さんもレイの「執念」に愛想を尽かしそうになりながらも、なんだかんだ応援してくれるんですよね。可哀想というか少しウルっとくる。

レイ妻「茶化さずに聞いてあげて 特別だから」


●マクドナルドのビジネス(&あらすじ)
世界最大のファーストフードチェーンに敬意を表して本日のランチはマクドナルドにしました。冬休みで激混みでしたが速攻で出てきましたよ。これもマクドナルド兄弟が開発したオペレーションのお陰。こんな極東の島国でもスピード・サービス・システムはしっかりと機能していますよ!なんかこれもウルっときました(単に歳のせいか涙もろいだけ)。

元々様々なビジネスに手を出したが、うまくいかなかったレイ。そんなレイが1954年ころに扱っていたのがマルチミキサー。中々売れなかったが、一度に8台の注文が入る。どんなお店なのかとレイは足を運ぶ。その店こそがマクドナルドだった。

マクドナルドは徹底的に効率化し(オペレーションやメニューの統一など)圧倒的な差別化に成功していた。

例えば、
・メニューを絞った(ハンバーガー、ポテト、ドリンクのみ)
・ウェイトレスレス
・食器を使わず包装紙
・食べるのは各自車やベンチまたは自宅で
など

〜これ、今となってはファーストフードとして一般的なんでしょうが、当時は(今からもう70年も前ですよ)かなり斬新だったんでしょうね。〜

レイは店舗を見学させてもらったその夜、マクドナルド兄弟と食事をし、着想の秘話を教えてもらう。スピード・サービス・システム、ゴールデンアーチ、マクドナルドのビジネスに心底惚れ込んだレイは、渋る兄弟を説得し(何かを決めるときは全てマクドナルド兄弟の許可が必要な条件付きで)マクドナルドのフランチャイズを開始する。

その後は多少の困難もあれど概ね順調。

その後の大きな転機は、資金難に陥ったレイと
ハリー・J・ソネンボーン(マクドナルド・コーポレーションの初代社長)との出会い。ハリーは飲食業界の腕利きのコンサルタント。レイはマクドナルドのビジネスモデルの骨格となる不動産業のアイディアを得る。それまではノウハウを提供し売上の一部を得るだけだったビジネスモデルから、土地と店舗は本部が所有しオーナーへ貸し出すモデルへと進化させたのだった。

それを機にマクドナルド兄弟との関係も逆転し、すべての権利を買い取ることに成功。当時の価値で1億ドルだそう!
(興味がある人は「マクドナルド 不動産業」でググると色々と出てきます)

マクドナルドの買収が成立したあと、トイレでマクドナルド兄弟の弟ディックがレイに尋ねます。

「店舗を見学し全てを教えてやった、やろうと思えば自分でもできたはず。何故やらなかった?(何故フランチャイズを選んだ?)」

それに対しレイは

「マクドナルドほどのお店は誰にもできない。システムは真似できたとしても(中略)他の店になくマクドナルドにしかないもの、それは『マクドナルド』という輝かしい名前だ。ゴールデンアーチを初めて見たとき『必ず手に入れる』と決めたんだ」

これこそがレイのビジネスマンとしての嗅覚、そして執念なんでしょうな。
(ちゃっかり美人人妻もゲット、「ちゃっかり」ってのは失礼かな)

ちょっと兄弟が可哀想とも思えるけど、価値観の問題で自分たちが作ったお店が世界各国にあるってすごいことですよね。兄弟は弱肉強食の世界で「溺れる人間にホースを咥えさせる」覚悟が持てなかっただけの話なのかもしれません。当然、私も無理です。


●実話ベースなので
1時間55分という長さの中で実話ベースで「どこに焦点を当てていくか」が脚本の見どころでしょうかね。割りと初期が手厚くといった感じなのかな。フランチャイズしていくのに投資家や銀行ではなく夫婦などにオーナーをやってもらったのはマクドナルドならではらしいですよ。ワークマンとかも一緒らしいですね。フランチャイズビジネスに詳しいわけではありませんので、正確なところは分かりませんのであしからず。

個人的には、ハリーが参画したあたりなどももう少し深堀りしてほしかったけど、そんなに物語的に面白くないのですかね…。


●最後に
実話ベースの話も面白いですね。この映画の原作はレイ・クロックの自伝「成功はゴミ箱の中に」だそうです。

最後に「○○はその後■■になった」的なのが流れます。あれ好きですね〜。実話ベースの話しならでは。
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