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アルビノの木のstudioPkidsのレビュー・感想・評価

アルビノの木(2016年製作の映画)
3.0


常々私は思っていたのですが
人間ほど地球にとっての害獣はいないよな~・・・
(-.-;)
ってね・・・

ある無知な知人が言った。
「種が絶滅するのは生命として淘汰されただけなので、地球の環境など気にしない」と。

その時私は思いました。
こういう種こそ、淘汰してしまっていいのでゎ?と。
自然淘汰と環境破壊による絶滅が同じであるかのように言うこの人間こそ絶滅すべきだ。

本作での”白鹿様”がまさに、
地球上を我が物顔で闊歩する人類の被害者なのだ。

白鹿は閉山となった鉱山が生み出す環境変化が原因の
単なるアルビノ種でしかないが
人の業や欲によって
神にもなり、風評被害のシンボルにもなってしまう。

人の欲の上で
右に行ったり左に行ったり・・・
実に不安定で不確実な天秤上で踊らされている。

街と隔絶された深山の村では白鹿は神だが
街では発展を妨げる害獣
環境汚染を心配させる突然変異…

それを無関係の人間に処理させる強欲さ。
それは都会も田舎も関係なく
人間である限り他種族の命など軽んじてしまうのである

母の手術費用のために高額で雇われたアルバイト猟師ユクが
信心深い、村の最年少の若者・羊市の目の前で白鹿を射殺した時、
絶望の羊市がとった行動は
オスの白鹿の角を切り落とし
ユクに証拠として持たせることだった・・・
しかし、亡骸に一切触らせないように嘆く羊市は
はたして命を重く受け止めているのであろうか?
私には単なる人間のエゴにしか見えなかった。
それは
信仰の対象を失った自分自身が気の毒なのだ。

遅れた生活を余儀なくさせられる村を嫌い
街へと逃げたい若き女性・ナギは
ユクを利用し村から連れ出してもらおうとする
ユクはナギに
全て片付いたら迎えに行くと約束する。
母の手術を無事に終え
ナギを迎えに再度、村へ足を運ぶユクの目に映ったのは
羊市の元へと嫁ぐナギの姿だった。
白無垢の花嫁衣装、
綿帽子に覆われたナギ
私には角隠しにも見えた。
きっと
あれだけ村を嫌っていたナギの
業という頭の角を切り落としたのも羊市なんだろうな。
だから
白鹿と白無垢のナギがダブって見えたのだ。

呆然と立ち尽くすユクの脇を
メスの白鹿が通りすぎる。

こんな事、
ほんのわずかな心の痛みなのだ

こんな世の中では、なおさら・・・