ポルりん

名もなき復讐のポルりんのレビュー・感想・評価

名もなき復讐(2015年製作の映画)
3.7
かなり後味の悪い復讐劇。


あらすじ

ジウンはかつて射撃の代表候補選手だったが、交通事故で両親が他界した上に自分も言語障害の後遺症を負う。射撃の道を断念した失意の彼女は工場に勤務し始めるが、ある日、家に帰る途中でいきなり3人の暴漢たちに襲撃される。


基本的には主人公ジウンがレイプ犯やその他ゴミ人間に復讐する復讐劇であり社会派ドラマでもある。

ジウンが犯した罪は法律上では決して許されるものではないが、視聴者の大半が彼女に同情し救われて欲しいと願うのではないか…。
そのくらいジウンは悲惨な目に合い、また性格が信じられないくらい良い。
両親が死に自分は言語障害になった事件に親友が関係していたとしたら、果たしてそのまんまの関係でいられるだろうか…。
少なくとも私には無理である。
そんな憎まれても全然おかしくないのに、ジウンは親友に優しく接し、ゴミ彼氏のDVからも救おうとする。

ジウンは人間的に素晴らしいのに対し、ジウンの殺害対象となるものは救いようのない真性のクズだ。
私はクズの悪役は好きだが、本作のような障害者を差別し、女性軽視、DVやレイプ、弱味を握って体を要求するような奴は虫酸が走る程嫌いだ。

ジウンの境遇、そして本作の悪役がジウンにした事を考えると
彼女を責める事は出来ない。

しかし、本作ではジウンのような弱者には厳しく、クズな悪役には甘い法律になっている事をまざまざと見せつけられる。

非常に考えさせられる作品であり、テンポも良く、エンドロールも素晴らしい。
役者の演技も演技をしているとは思わせないような自然で良い演技をしている。

素晴らしい映画ではあるが、多少不満に思う点もある。

1つが登場人物の紹介が少々分かりにくい事。
そして、もう1つが憎むべき相手をあっさり殺している事。

前者は物語が少し進めば完全に把握出来るので少し気になった程度だが、後者は割りと不満が残る。

本作に出てくる悪党は一族晒し首にしても文句いえないレベルのクズだが、そこまで苦しんで死なないように描写されている。
人によっては、全然苦しまないで即死されるケースもある。
個人的にはもう少し苦しめて殺して欲しかったかな。


とは言っても、これらを帳消しにするくらい良い作品であるのであり、後味が悪いのはいえ、その分深く考えさせられる作品であるのでオススメである。
ポルりん

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