ひらり前歯

ウインド・リバーのひらり前歯のネタバレレビュー・内容・結末

ウインド・リバー(2017年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

世界と戦っても勝てないから、感情と戦うほうを選んだという主人公のことばの余韻が残る。

様々な人がそれぞれの立場と環境とで苦しんでいる。敵を見誤れば、時には他の人も巻き込んで身を滅ぼす。
憎んでいるその相手は本当の敵か。対峙すべきものから目を背けているだけではないのか。身につまされる思いだった。

FBIの人は、傲慢無礼で無神経と思いきや、逐一傷付き、素直に謝り、歩み寄ろうとするところが良かった。
娘を殺された先住民の男性の、自分のやり方でどうにか感情と向き合おうとする姿も胸を打った。

容赦のない死の描写、嵐、狩るか狩られるかの緊迫感とは裏腹に、静かな印象が、
そして先住民や労働者たちのおかれた過酷な状況と真っ白な雪の凍える冷たさの一方で、人の持つ熱も胸に残る作品だった。