10km。
誰かの生と死、その尊厳。
現代アメリカを舞台にこういう西部劇が出来るんだと思うには十分な風格の映画。
家と家までが遠い雪に包まれた大地の、そのひたすらに寄る辺ない感じの中に垣間見える熱を帯びた確かな感情。
この映画は、怒っている。
と感じた。
と同時に、その怒りを“鎮めたい”という祈るような願いも交差する鎮魂の雪と静かな怒りの冷たくて熱い『ウィンド・リバー』という映画。
元々役者から始まり現場で叩き上げて来たテイラー・シェリダン監督、上手いのは前提としてだけど完璧を目指すよりも映画自体に感情を持たせることを大事にしていて、本じゃなく経験から感覚的にツボを押さえてくる感じは監督デビュー作として確かな腕だと思った。
これ系での個人的に良い作品の条件でもある、どれだけシリアスの中にも笑い、も遠慮気味だけどあったしね。
ジェレミー・レナーの顔のシワがなかなか良い感じになってきたなあと思った。
とても画面に映えてたし、見事に演じてたと思う。
このうだるような暑さのせいで、さっそくまた観たくなってきた。