Nei

ウインド・リバーのNeiのネタバレレビュー・内容・結末

ウインド・リバー(2017年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

雪に覆われる世界
インディアンコミュニティという世界
肌の色が違う事に意味がある世界
FBIの職責に与えられた世界


登場人物の全員が自分の置かれている状態に諦念であったり怒りや窒息感を抱いている状態のこのお話し。

人がぽろぽろいなくなっても社会問題にならないのは、それが大人だからなのか、女性だからなのか、それとも白人でないからなのか。
映画をずっと見てきて白い世界の冷たさを知った観客には、再度示された「彼女が10キロを逃げ続けて息絶えた」という言葉が、より現実味を帯びて伝わったように思う。
寒さと苦しさと恐ろしさの中で、雪に足を取られ、真っ暗な場所を10キロ……

人が人として扱われる為には何がどう変わることが必要なのか。
個人の精神論の話ではない。
この作品の主旨は、制度に抑圧された人間の行為から見る社会制度の杜撰さにある。
それを考えさせられる映画だった。
Nei

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