実話ベース。フランスという国は外から見ていて懐の深い国だなと思う。ただ、この学校のような公立学校では、経済的に厳しく、親や兄弟の面倒を見たり、勉強どころではない子もいるから、現場はさぞかし大変だろう。多国籍&多宗教だから、冒頭のヒジャブの件によらず、色々あるのだろうな。
授業がほとんど成立しないような学校で、校長は事なかれ主義だからサポートは期待できない。そんな中、ゲゲン先生は、落ちこぼれの生徒たちをうまく刺激して自分達で考えさせる。主題を与えてグループワークをさせつつ、仲間のありがたさを体感させて、仲間外れの子まで取り込んで大きな輪を作る。
自分で考えさせ、自信をつけてあげるのが教育だと思うけど、考えるな、覚えろというから失敗するんだろうな。数字を取れない子って、家庭から十分な愛情が得られなくて自信がない一方、他人に関心があり、情感豊かな子が多い傾向があるように思う(勿論例外はある)けど、そういう利点を生かすには、辛抱強く関わって信頼を勝ち取らないとならない。ゲゲン先生のように毅然として、日々のトラブルに心折れることなく、体をはってあなた達を信じているというメッセージを強く発していくのは、並の人間にはかなり難しい。大柄な生徒に怒りにまかせて壁ドンされたら恐怖で足がすくむでしょ。
「私は無宗教だけど、人間を信じる」と言うアウシュビッツ生存者の方の言葉が、クラスの中の見えない壁を崩したんだろう。
教育が時に恐育/狂育になるのは何が原因なんだろう、などと色々考えてしまった。