はぎはら

めぐりあう日のはぎはらのネタバレレビュー・内容・結末

めぐりあう日(2015年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

ウニールコント監督の長編第2作。

セリーヌ・サレット演じる理学療法士エリザが主人公。エリザは孤児院に入れられ、その後養父母に育てられる。結婚し子供を産み育てている今も、ずっと、自分は愛されて生まれてきたのかと、行き場のない問いに悩まされている。

映画の冒頭、エリザは電車の窓から外を眺めているが、彼女の瞳は何も映さない。彼女は自分の内面に沈潜している。
彼女がずっと抱えてきた心の牢獄からどのように解き放たれるのかがこの映画のテーマだ。

理学療法士の仕事は加齢や病気、ケガで障害を得た人の身体機能を回復させることだ。
通院患者の肌をさすりながら患部を探り当て、ゆっくりと解きほぐしていく。彼女は人の痛みを少しずつ解放させていく。

エリザがなぜこの職業を選択したのか、映画は直接語らないが、彼女は母親を探す過程で自分の仕事が何であったのかを知ることになる。

母親もまた、自分と同じように痛みを抱えて生きていた。幼児のように丸くなって、エリザの腕に抱かれるシーンはこの映画の最も美しいシーンだ。
愛した男のことは自分で話す、と母親が語るシーンもとても良い。

原題は、「あなたが狂おしいほどに愛されることを、私は願っている」。フランスの詩人アンドレ・ブルトンが娘にあてた詩の一節。

同じ詩の「あなたの誕生に何一つ偶然はない」という言葉も胸に沁みる。
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