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ひるね姫 〜知らないワタシの物語〜のmrmtのネタバレレビュー・内容・結末

2.8

このレビューはネタバレを含みます

この作品では、夢がキーになっている。
似た仕掛けをつかっている映画に『パプリカ』や『エンジェルウォーズ』があるが、それらに比べるとライトな視聴者向けにぬるくなっている気がした。

この作品は夢オチならぬ、夢から始まる映画である。夢の世界の中でいくらスリルのある展開になっても結局は夢なのでハラハラすることができない。『パプリカ』のように夢が現実を侵食するような設定ではないことが早いうちから明言されている。夢がただの夢であるとわかってから、夢の中で大切な描写をして、目が覚めると物語が進行している。見たいのはそっちではなく現実のほうなのに。チグハグだ。

ストーリーに乗ることができなかったとしても、せめて夢の描写が『パプリカ』のように刺激的なものであれば満足できたのかもしれない。ロボットが動くだけで物足りなかった。(せめて魔法なら)

映画館を出てから冷静になって考えてみると(映画を見ている時からまったく興奮できなかったが)主人公のココネはほとんど寝ているだけだ、頑張っているのはほとんど周りの人だけではないか。せめて、夢の中での出来事をヒントに現実で行動するような展開があればと思う。

ストーリーと映像がつまらなかったとしてもSF設定が魅力的であればまだ良かったかもしれない。舞台が東京オリンピックの直前で、自動車の自動運転をネタにしている点は面白かったが作品自体の面白さにはつながっていないように感じた。

VRの端末があれだけ発達していて、同時にスマホがあるという世界観は作り込みが甘いようにも思った。

CGをつかってアニメを作るという時代の変化の隠喩が作品に埋め込まれているような感じがあり、この作品自体もCGがたくさん使われている。
日本のアニメにおけるCGの活用が発展するための踏み台としての価値が(作り手たちにとっては)あるのかもしれない。
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