ぺー

田園に死すのぺーのレビュー・感想・評価

田園に死す(1974年製作の映画)
4.1
映画 田園に死す(1974)日本/102分
監督.脚本.原作 寺山修司
主演 菅貫太郎 高野浩幸

20年前の純粋無垢な私と、20年前を正当化し美化までもしてしまう現在の映画監督の大人になった私の対立が芸術的に描かれていた。
真実や現実からの逃避行として物語が主に進んでいくが、熱が出ている時の悪夢のような描写の数々は癖になり魅入ってしまう。最高で不気味なファーストカットで観客を寺山ワールドへ引きずり込む。
"意味が分からない"が本作の1番の感想で間違いないが逆に完璧に分かったらその人天才すぎる。
過保護でウザったい母親や変な村人達、サーカス団の空気女とヤリまくり団員、一緒に駆け落ちしようとしたお姉さんと愛人の心中、過去に川に赤ん坊を捨て私をレイプした上京済みの女、全ての過去を受け入れられずに成長した挙句の果て。
しかし、本作は「映画」現実へ戻ろうとしたら更に現実に引き返された感覚。
「ホーリーマウンテン」と同じ感じがした。
産んでくれた大切な存在である母に対してまだ愛が残ってるのがテーマ性として良かった。
それにしても雛人形の乗った仏壇が川を流れたり、赤い湖と背景の山とか、終始白塗りの顔の登場人物達、田んぼで既に情報量過多だし、凄い監督だな。
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