遠藤泰介

淵に立つの遠藤泰介のネタバレレビュー・内容・結末

淵に立つ(2016年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

首都圏映画サークル連合(サポーター)向け試写会にて

小説版を読んだ人から消化に時間を要するとか聞いていたためやや身構えて鑑賞。

が、個人的にはスッと入ってきた内容だった。
冒頭の娘がオルガンをメトロノームに合わせて弾いているが、朝ごはんの準備が出来たと母親に呼ばれる。メトロノームかけっぱで食卓に行っちゃう。オイオイ、いい音だけど不自然やろ!と思った矢先、メトロノームのリズムにあわせてタイトルが組み上がって行くんです。グッと来。

浅田さんの演技、というか浅田さん本人の容姿、つまりは八坂だけども、最高に不気味で異質でなんだかカッコいい。
後半八坂は出て来ませんが、随所に八坂の着ていた赤いシャツを彷彿とさせる赤いキーグッズが散りばめられていて、グッと映画に入り込んでる自分にとってそれは刷り込みのような効果で本編の最初から最後、帰宅途中の井の頭線の中でさえも八坂の姿がチラついた。流石。

人は他人の気持ちは推し量ることは出来てもそれがその人にとっての真実かは決してわからない。
章江は八坂の息子にふと言われた一言をきっかけに
蛍は死にたいと考えてるのでは無いかと思うようになる。

章江の見た夢の中ではホタルちゃんと海辺に座り云々
クライマックスで利雄が章江を助けるときふと目をやった蛍ちゃんは水の中で手足が自由になり水面に上がっていく。
それは各々の外からの推し量りであって、蛍ちゃんが生に対してどう考えているのかはどうしたって分からない。
心理上で人は孤独だ。血が繋がっていようがいまいが。

俺は利雄が引撲くところ、微妙に笑えた口。
ただ、八坂がシーンが変わるごとに身体を求めてチュッチュする方が笑えたかな。

笑ったといえば(間違えてたらごめんなさい)教会?のシーンで小野川さんがエキストラで出てたところ
音楽、素晴らしかったです。
遠藤泰介

遠藤泰介