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淵に立つのKのレビュー・感想・評価

淵に立つ(2016年製作の映画)
4.6
日常の家族の普通の”平和”は非常に絶妙なバランスの上に成り立っていて、そのためには善悪関係なしに、互いに語りすぎないこと、知りすぎないことがそれを手助けしている。

でもそのバランスはそれぞれの家族の中の暗黙のルールによって支えられているのであって、そこに何か外的なバランスを崩す力が働くと、途端にその絶妙なバランスが崩れ落ちていく様が、あまりにも予想を超える絶望感を持って襲いかかってくるかのように描写されている。

ただ、それと同時に、何がどこまで許されるのかわからなくなるというトリックが仕掛けられている。結局人生は試練の連続だし、それぞれのエゴで生きているだけ。でも神様からしてみたら、我々は全員罪深い。

久々にこんな絶望的な映画を見ました。とにかく絶望感に苛まれた118分でした。
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