ポルりん

窓の外側のポルりんのレビュー・感想・評価

窓の外側(2016年製作の映画)
3.5
静岡市の魅力を知ってもらうため制作された7分ほどのショートムービー。
このように説明するとあまり面白くない作品の様に思ってしまうのかもしれないが、個人的にかなり心を揺れ動かされた作品であった。

大まかなあらすじは、高校3年になる主人公が父親の転勤で東京から静岡に引っ越すことになった。
主人公だけではなく母親も静岡をディスりまくりで全く乗り気ではなく、主人公は1年間頑張って東京の大学に行き、東京に戻ろうとするが・・・。
といった話。

本作は質の良い音楽と演出により静岡の魅力を存分に引き出しており、静岡って結構住みやすそうな場所だなぁ~と思えた。
実は、会社を辞めて独立する前に静岡と特徴が似ているような場所に住んでいたので、何だかノスタルジーを感じさせてくれる作品でもあった。

ノスタルジーを感じさせてくれる演出や映像も良いのだが、それ以上にストーリーの完成度が高く、これが一番心を揺れ動かされることになった要因かもしれない。
というのも、この作品の主人公と当時の私の境遇が少し似ている部分もあり、これによりかなりの親近感を湧く事が出来た。

今から10年近く前、当時の私は大学に進学したものの、周りに中学高校時代の友達が全くいない状態であった。
今なら、普通に友達を作ろうとするのだが、当時の私は人見知りが激しく知らない人と殆んど話す事が出来なかった。
一応小中高と友達は多い方だったと思うが、ほぼ友達の紹介によって友達が出来ていたので、見知らぬ土地でどうやって友達を作ればいいか分からず、本作の主人公と同じく4年間頑張って故郷に戻ろうと考えていた。
だから、入学して1ヶ月近くは完全に孤独であったし、2日以上休みがあった時は時間を掛けて地元に戻り、高校時代の友達と遊んでたりした。
そして、入学から1ヶ月近く経った頃、同じ学科で周りから人気のあったファッキンハゲ(あだ名)から声を掛けられた。
ファッキンハゲはEXILEのATSUSHIの様な風格をしており、当時はかなり苦手なタイプであったが、話してみたら意外と楽しく会話をする事ができ、
それをきっかけに色々な友達ができ、色々バカをやったりもしたが、非常に充実した大学生活を送る事が出来た。

結婚後の生活を除いたら、大学時代が一番楽しかったし、色々な面で一番成長する事が出来たと思う。
入学した当初は遊ぶ場所もあまりなく退屈な場所だと思っていたが、友達が出来てからは魅力的な部分が幾つも見えてきて、最終的には地元よりも好きな場所になった。
だから、主人公のラストの心境も怖いくらい理解出来るし、形は違えど私もそれに近いことを夢にしている。
今年観た映画のキャラクターの中で最も共感ができ、まるで昔の自分を見ているような感じになった。

静岡に興味がある人は勿論の事だが、地元を離れて1人暮らしをした事がある人にはオススメの作品である。
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