菩薩

ソニータの菩薩のレビュー・感想・評価

ソニータ(2015年製作の映画)
3.5
もちろんドキュメンタリーとしてそれはどうなのだ?と思う箇所があるわけだが、監督が一人の映画作家よりも一人の人間として、そして彼女の友人としてその選択をした結果、彼女が希望をその手にしたと言う事実を誰が批判できようか。親を捨て家族と離れ、自分の未来を掴み取った彼女の笑顔に多少複雑な思いも抱くが、この様な輪が広がっていくのは結果として良い事なのだと思う。普段ヒップホップを愛聴する身としては、この様に将来有望株が悪しき慣習なぞに潰されず芽を出してくれた事に素直に喜びを感じるし、もし彼女が真に成功を手にした後、今度は自分がいかに他人を支援する側に回れるかを考えられる人間に成長して欲しいなどと、無責任ながら期待をしてしまう。母に対して「あの人は金が絡めば話が通じる」なんて、そんな境遇から絞り出されるリリックは当然強烈だし、単純にアラビア語(?)のラップの語感は気持ちいい。とりあえず、変に言葉尻をとっ捕まえて、一般のファンやら名前の似たバンドやらまったく関係のない周辺バンドすら巻き込んでボヤ騒ぎを起こした某シンガーソングライターに、音楽には時にこの様に人生を一変させる力があるのだと言う事を伝えたい、そう、音楽は魔法だ(人それぞれだ)。
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