ハレルヤ

丘のハレルヤのレビュー・感想・評価

(1965年製作の映画)
3.7
第二次世界大戦時の北アフリカ。イギリス陸軍の刑務所を舞台に看守たちは高圧的な態度で囚人たちに過酷な訓練を強いる。その結果死者が出て、囚人の1人で元軍曹長のロバーツはその体制に抗議する社会派サスペンス。

名匠シドニー・ルメット監督作品。主演はショーン・コネリー。軍の刑務所という限られた場所での看守VS囚人というシンプルな構図。囚人と言っても収監されているのは犯罪者ではなく軍人たち。その中の主人公ロバーツも戦争に嫌気が差し、命令に背き上官を殴った事で収容された。

なので元々根っからのワルではない人が大半の刑務所。その中で訓練と称した拷問のような仕打ちを受けさせる看守。モノクロでも伝わってくる北アフリカの灼熱の気候。タイトルにもなっている丘で重装備を抱えて上り下りさせる訓練は見ているだけでしんどくなるもの。

そんな絶望的な環境で仲間を死に追いやられた事を許せず、看守側に猛抗議するロバーツをショーン・コネリーが熱演。当然自らも追い込まれて心身ともにボロボロにされながらも心を折らさずに反抗の姿勢を取る姿は貫禄が感じられました。当時はジェームズ・ボンドとしても活躍していた時期だけに、その勢いも感じ取れましたね。

オープニングでの長回しやクライマックスでの舌戦で登場人物にズームアップするカメラワーク。そして限定空間でのせめぎ合いは「十二人の怒れる男」を彷彿させるもの。シドニー・ルメット監督の持ち味がよく活きている内容という印象でした。隠れた良作です。
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