丘の作品情報・感想・評価

「丘」に投稿された感想・評価

pika

pikaの感想・評価

4.0
うひょー!ラストの着地が最高に素晴らしい!!

砂漠のど真ん中にある軍刑務所にて、軽微の罪を犯したり規律に反した兵士が囚人として虐待とも言えるレベルのしごきを受け、看守は軍律を盾に見境いがなくなるほど権力を行使する、同じ国を守る兵隊であるにも関わらず閉鎖された空間の中で生じてしまう人間心理を淡々とリアリズムにダイナミックな娯楽性を含ませながらタイトに描いていてめちゃくちゃ面白い!

全編のほぼ半分まるまる使って軍刑務所にやってきたショーン・コネリーら新参一行の洗礼を描いていて、これでもか〜これでもか〜と、看守による圧力と『丘』という存在への恐怖を描き出す。
ただの人工の丘なんだけど本当に役者に登り下りをさせ、それを延々長回しで撮ってるもんだからヘトヘトになっていく過程がめちゃくちゃリアルで緊張感がハンパない!ギランギランな太陽の下、重装備で無為に登り下りする姿は見ているこちらも喉が渇いてヘトヘトになるほど凄まじい。

ボコボコにしたくなるほどめちゃクソムカつく看守長らのキャラと、理不尽過ぎる扱いに立ち向かうショーン・コネリーの均衡、同じ房にいる男たちと少しずつ芽生える仲間意識や問われる倫理観など、瞬発的な娯楽にはせずジワジワと思考を進めてくれる丁寧な構成が素晴らしい。
長回しで丘を捉えるショットや矢継ぎ早にクローズアップショットをカッティングしてきたり、房の中をグルグルカメラが回りうねったりとカメラワークが面白い上、何もない砂漠の中に佇む刑務所や見栄えのない男臭い社会を見応えたっぷりな画力で圧倒する演出も圧巻!

右肩上がりに緊迫感が増して行く中どうなるんだ!と前のめりになりカタルシスを心待ちにして迎えたラスト!これぞ傑作!と言わんばかりな余韻を残す素晴らしいエンディングだった
「丘」と聞いて「♪丘を越え 行こうよ 口笛 吹きつつ」などと朗らかな想像をしていると、唖然とすることだろう

実態は、丘を越えすぎて 逝ってしまったよ 罵詈雑言 吹き荒れつつ、といったところである

丘を俯瞰で捉えつつ刑務所の過酷さを長回しで見せつけるオープニングから、シビれるあのラストカットまで、カメラワークも含めてとにかくお見事です
まな

まなの感想・評価

3.9
撮り方がうまい、特にカメラにガスマスクをかぶせて丘を登る演出は素晴らしかった。
傑作。冒頭、話の肝となる丘をメインに据えたクレーン撮影からまず引き込まれる。こんなにもマーク数が少ないのが不思議なくらい。

レフライレフライレフライレフライ……
観た中ではルメットのベストか、というような出来栄えか。まずは登場人物のキャラクタリゼーションに長ける。兵隊囚人に対しての、矯正とは名ばかりの単なる権力欲丸出しのイビリ野郎と化しているクソ看守長とその腰巾着の新米看守、こいつらの鬼畜なシゴキに対して目に余ると思いながらも煮え切らない態度を取りながら最後にはついにキレて告発への勇気を振り絞る軍医、看守長と新米看守の横暴に対して反発する良心的な看守、そして兵隊囚人5名。実に生き生きと、かつ明快にそれぞれの人物が映画内で躍動している。微塵も曖昧さがない。これはこの手の映画では必須だ。

そして、彼らの演技の特質を余さず掬い取るカメラワークの巧みさ。冒頭、「丘」の頂上で遂に倒れ込んだ兵隊囚人を看守達が掴んで下ろすシーンをほぼ横から捉えたフルショット〜刑務所の外までに至るクレーン&移動撮影による長回しにまずは引き込まれるが、クローズアップや仰角&俯瞰の多用(仰角は看守の威圧感と非人間性を、俯瞰は刑務所の官僚的な全体像を照らし出す)、囚人たちを捉えたシーンでの横移動やカメラの上下運動がその都度素晴らしいダイナミズムを生み出す。

そしてラストシーンの急転直下。どう「急転直下」するのかはご覧頂くとして、とにかく苦い。苦すぎる。余りにルメット的である。
菩薩

菩薩の感想・評価

4.4
これ…どう考えても『フルメタル・ジャケット』レベルの傑作だろ…。

大戦中のイギリス陸軍アフリカ刑務所が舞台。様々な理由(離隊やら盗みやら)により集められた「落ちこぼれ」達が、とにかく鬼畜な特務曹長(全ての実権を握る看守長)と、これまた単なるクソ野郎の新任看守にいびられいびられ、追い詰められていく。その内一人が精神的にも肉体的にもヒャハ〜して死亡、当然この手の問題は内密に内密と処理したがるクソ野郎共だが…ってお話。

囚人五人組のそれぞれのキャラ設定もさる事ながら(黒人が入る事で話が何倍にも膨らむ)、なんとか看守長に立てつき正義を守ろうとするMr.良い人ハリスさんや(この人も看守)、自らの誇りを守ろうとする軍医さんをも巻き込んだ後半の熾烈な争いはかなり見応えあり、そこはさすがに「怒れる男」ルメット。で、何よりスーパーヒーロー、ショーン・コネリー。元々理不尽な上官を殴って刑務所に送られただけあって、超絶正義漢。なんとか法に則ってクソ野郎共を血祭りに上げてやろうとするんだけど…最後の終わり方がこれまた見事!なんでこんな名作が普通に埋もれてんだ…勿体無い。DVD1000円しないし、買って損無いと思う(メーカーの回し者ではありません)。

ちなみに「丘」とは、簡単に言うと刑務所内にある人工の坂道みたいな物。それを炎天下の中、重い背囊担いで何度も上り下りさせられたり、周りをグルグルさせられたり…。とりあえず看守長の悪役然とした面がまえだけでも見てやって欲しい。
nagaoshan

nagaoshanの感想・評価

4.1
シドニー・ルメット監督の初期傑作!
硬派な社会派作品撮らせたら本当すごい監督さんです!特に初期は傑作揃いで素晴らしい!
ショーン・コネリーも敬愛してるのでしょう、後にオリエント急行殺人事件にも出演してますし、いつか、是非とも、いつの日か幻の「質屋」観てみたいな〜〜よか映画!
最も敬愛する監督のひとりシドニールメットの作品で、こんなんあるなんて知らなかったよ! しかもかなりの傑作ではないか! 何か1個いいの見ると他のルメットさんも久々に見たくなってくる。舞台はイギリスの軍刑務所。新しく入ってきた脱走兵とちょっとした悪事を働いてもーた5人の兵隊囚人の中にひとり、仲間を守るため無謀な攻撃命令に従わなかったがために捕らえられたショーンコネリーがいるのです。再調教トレーニングに使われる人口丘の上り下りを、休みなく何度も何度も強要される5人。そのうちひとりが無理しすぎたため死んでしまうところから話が一気に盛り上がり始める。正直、そこに至るまでは、ちょっと退屈やってん。丘の昇降がそないにキツそうに見えへんというのがあるからかも。実際はとんでもないんやろけど。中盤は、上官を告発するショーンコネリー対穏便に済ませたい同房の囚人たち、さら、対看守たち、遂には対軍紀や軍そのもののシステム、そして対国家と、彼らを非人道的に対処する側 VS 囚人たちとの対立に発展し、それが、管理者側の正義を無視した保身と権力への追蹤をまざまざと浮き彫りにしていく。とにかくこのぶつかり合いが見物で、こちらに向かって怒鳴ってるように見えるほどの顔面クロースアップの数々が殊に激しい。ほんで悪役ふたりのクソなこと! こんな憎まれ役を殺したくなるほどの憎たらしさで演じた2人はホントにすごい! それに比べて、序盤から囚人たちに対して人間らしく振舞ってる男のオアシス的嬉しさといったらない。この人やっぱゲイなのかな。イケてるわー。てか、全体的にホモセクシャルなテイストがほのかに香ってるよね。みんなできゃっきゃっシャワー浴びてたり、お布団の中でおしゃべりしたり。ほんで、この同房の5人のキャラ設定がまた大変に面白い、especially 黒人。黒人に対する差別も辛辣に描いてあるが、最終的にオレは民間人に戻るぜーと裸になったとこからのキレっぷりがおもしろかった! 白人たちタジタジ。ほんで、最後の方は、ホントに熱い熱い男たちのまさにrebel heartな展開にうおーーーーとなったあと、まさかのオチに閉口…ルメットさん…そりゃないぜ、けどサイコーだぜ。
仕事に恵まれない下流国民や犯罪者までも前線に送り込みファシズムを倒すという大義名分で参戦した古豪大英帝国。それでも軍という規律の中で落ちこぼれる者やエリート将校の不条理な命令に叛く者は刑務所に送られる。軍刑務所は戦争の縮図。タイトルの丘が象徴的に描かれ上官と囚人との間の大きな障壁の様な存在。衝撃的なラストシーンもまた戦場の一シーンなのだろう。
USK

USKの感想・評価

4.4
観たくて観たくてたまらなかったのですがどこ行ってもなかったのでとうとう買ってしまいました!もう損得とかではないレベルの作品でした。すさまじぃ作品とはまさにこの作品の事。

”戦争で傷つけられた兵士は、味方の兵士によってさらに傷つけられる。”
舞台は第二次世界大戦下のアフリカのイギリス陸軍刑務所。そこに新しく5人の囚人が送られ、経歴や態度に目をつけられた5人は”丘”と呼ばれる刑務所内にある小さな山を乗り降りするという過酷な訓練を強いられた。ある日、極悪非道な看守の仕打ちを受け、仲間のひとりが過労死してしまう。5人のリーダー的ポジションのロバーツは、このことを公にするため当局に立ち向かうのだが。。

とにかく”丘”という存在がすごい。映画を観る前はとんでもない坂道を想像していたのですが実際は意外と小さい山だった。しかし撮り方のおかげもありますが、かなり恐怖を感じます。丘が映るたびに観客は主人公達の気持ちになり死を覚悟するでしょう。
刑務所の中に死の象徴と言わんばかりに堂々と佇む丘を是非拝見を!
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