現代のバスター・キートンとも呼ばれるパレスチナの孤高の映画作家エリア・スレイマン監督のデビュー作品です。
『DI』の強烈な視覚的ギャグが今も忘れられませんが、デビュー作からとてつもない映画です。
パレスチナの日常のなかに、それはドキュメンタリーのような切り取り方をしているなかに、突然超視覚的なギャグが入ってくる。
思わず笑ってしまいますが、冷静になると、それが紛争の風刺であることがわかってゾッとする。
スレイマン監督の映画を観るというのはそういうことで、多くの映画作家が残酷なことを残酷さで問題提起するなか、この監督はギャグにする。
寡作な監督ですが、一本も見逃せない映画作家ですね。