おまつり

獣道のおまつりのネタバレレビュー・内容・結末

獣道(2017年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

自分が生まれた環境からは、逃れられないというお話。伊藤さんのお母さんは宗教に夢中な人で、伊藤さんは自分の居場所を探し続けるけど、うまくいかない。裏切られて裏切られて、世間的に落ちぶれていってしまっても生きていくしかない。親は選べない、幸せになろうともがいてもはじまりのレールである程度決まってしまうんだなぁと思った。
淡々とした須田さんのナレーションがさらに虚しさに拍車をかけている。

一番インパクトがあったのは吉村さんが富士山の麓で須田さんに置いていかれるシーン。
本当に本当に上手だった。あの方はどうして、あんなにも不良そのものなんだろう!口角の歪ませ方とか、口調とか、歩き方とか、もう本物だった。(個人的にはもっと違う、真面目な役や王子様みたいな役もみてみたい。そのギャップでさらに不良役のうまさが際立ちそう。)
須田さんに好きだって言って→怒って→謝って→すがってってしていくうちに彼自身を守るもの:虚勢とか、強がりとかがぐちゃぐちゃになって剥がれていって、本当は弱くて幼い彼自身があらわになったと感じた。

この映画の登場人物たちのように大人にならせてもらえない境遇の人が、現実にもたくさんいるのだろうと思う。親に愛されて育つこと、自分のしたいことを実現するために努力できることは当たり前ではないと感じた。

感じるものは大きかったが、観ていて幸せになるとか、そういった類の映画ではなかったので、少し疲れた。
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