しゅん

ブレードランナー 2049のしゅんのレビュー・感想・評価

ブレードランナー 2049(2017年製作の映画)
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なんとも悩ましい。『メッセージ』ではベクシンスキの絵画を思い出したけど本作はアンドレア・グルスキーの写真を想起させる場面がちらほら。橙の光の中で水が揺蕩う謎の社長室とか、上空から映す廃墟ビル街とか、横長の画面を利用した広がりの表現として相当に美しい。水がもたらす寂寥感もたまらないし、やや作為が透けて見えるが、冒頭とラストを繋ぐ目の主題も悪くない。ハンス・ツィマーの音響含め、ヴィルヌーブの美意識はたしかに発揮されているだろう。だが、どうにも全てがゴズリングに集約されているというか、他の人物たちにドラマ的説得力も運動性も欠けていて、あまりに主人公中心的すぎ。ゴズリングの作品における役割・キャラクター性は申し分ないのに、その周辺の描き方がおざなりになっていて空回りしている。オールドタイマーな革命軍にはほんとうんざりした。そして、これは致し方ないといえばそれまでだが、ハリソンフォードの腹の出っ張りはやはり頂けないだろう。エルヴィスの亡霊が台無しである。

「機械が機械を産む」という主題は魅力的なのに、痒いところに手が届かない。とはいえ、私の目が届いていないだけな気もするので、評価は保留です。
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