ドゥニ・ヴィルヌーブ監督の圧倒的「正解」な続編。
『ブレードランナー』は1982年の時点から見た未来都市を描いたが、それはもちろん現実と折り合わない部分もある。だからヴィルヌーブは2049年の"ブレラン"の世界を描いている。
今作によって、前作の大方の謎は明らかにされたが、もちろん曖昧なままにしてくれたところもあり、その塩梅は"ブレラン"のファンとして嬉しい。
ただ、ヴィルヌーブはあまりに優等生すぎて、本作は熱心な"ブレラン"のファンしか面白がれない作品なのではないか、とも思う。『ブレードランナー』はカルトSFといっても、話の流れはつかみやすく、観やすい作品であるが、本作はほとんどアート映画で、抑制の効いた演技や演出、ビジュアルが映画世界をつくっている。そして何より、3時間弱に及ぶ長尺。
僕は映画館で働いていますが、観終わったお客さんの中で前作を観ていなかったと思われる人は、「なんだかよくわからない映画だったな」と言う人が多い。「前作をしっかり観ておくと楽しいですよ」なんてひとこえかけてみるも、初見殺しの本作で、2回目を観る人はファン以外には少ないかもしれない。もちろん、僕は少なくともあと2回は観に行きますが……。