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カフェ・ソサエティのgyaro311のレビュー・感想・評価

カフェ・ソサエティ(2016年製作の映画)
4.4
ウディ・アレンが紡ぎだす極上の郷愁!
ゴールデンエイジと呼ばれる1930年代の
ハリウッドとニューヨーク。
精神的にも、もしかしたら物質的にも、
おそらく今より豊かだった時代を背景に、
万民共通の「ほろ苦い恋愛」を描く。
郷愁というものを受け入れる準備ができた
(受け入れざるを得ない)
大人のためのストーリーだ。
現実的に考えれば考えるほど
手に入らないものがあり、
手に入らないものほど、
心にまとわりついて、離れないのだ!

ストーリーの紡ぎ方が素晴らしい。
「郷愁」は恋愛だけではない。
カフェに、映画館に、ショービジネス、
ギャング、豪邸と中間層の住宅地
モザイク状に散りばめられる
一つ一つのシーンは、すべてが不可欠だ。
それなのに尺は96分。

何を撮り、どのリズムで放り込めば、
シーンに最大の輝きを与えられるのか、
申し子、ウディ・アレンは知っている
まさに名人芸。

ストーリーに負けじと映像が素晴らしい。
ニューヨークから見ると、
ハリウッドは夢。郷愁の舞台だ。
だからニューヨークとハリウッドでは、
色調が違う。クリアさが違う。
この明確なコントラストが、観客に
郷愁という感情自体を思い出させる。
甘く切ない夢の残り香が
鼻の奥でツンとしてくるのだ。

ジェシー・アイゼンバーグは、
ウディ・アレンの化身だ。
もう代役は思い浮かべられない。

クリスティン・スチュワート。
悪気がない風で、
男の一生を惑わしかねない…
そんな魅力を放出している。

ブレイク・ライブリーとハッピーなのに、
クリスティン・スチュワートを
思わずにはいられない。
でも、それが無理なく思える。
永遠に色あせない美しさ、というやつを
クリスティン・スチュワートが
表現しきっている。
本当に、極上の郷愁が味わえます。
上映開始したら、もう一回、見たいです。
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