りっく

カフェ・ソサエティのりっくのレビュー・感想・評価

カフェ・ソサエティ(2016年製作の映画)
3.5
中二病のロマンチスト青年と、女優を夢見てハリウッドにやってきたが秘書として働く女性と、映画界の中心で剛腕を振るうプロデューサー。この三角関係が織りなす悲喜こもごもの恋愛劇。

愛ではなく恋を描く作家ウディアレンは、その夢見心地でロマンチックな人間たちが、自分の人生をそれぞれ歩み、幸せや成功を勝ち取る様を見つめる一方、安住の地に辿り着いたからこそ人生これで良かったのかという、心の隅に引っかかるほんの小さな後悔や疑念、その浮ついた心の揺れを、キャラクターをふっと立ち止まらせることで改めて想起させる。

ナレーションと早い展開でテンポよく進んでいくものの、最後には人生の酸いも甘いを噛み締めたような後味が拡がっていく。ヒロインの女優の美しさはもちろんのこと、ボンクラ青年のジェシーアイゼンバーグと、その伯父であるスティーブカレルの掛け合いは見事。
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