このレビューはネタバレを含みます
I mean do you have a bit of a life?
みんな薄々おかしいと思いながら働いたり家族や友達と過ごしたりしている。
その虚構性を「冗談」で暴力的に相対化してくる父。対して虚構性を我がものとして引き受けた娘。
そして虚構を真実に変えてしまう力を持つ音楽。Whitney Houston のGreatest Love of Allがほんとうにいい。歌詞の1行1行がハマりすぎている。
2人で歌っていた思い出の歌なのだ(たぶん)と考えるに泣けてしょうがない。2人の立場の移ろいも含めて。それを直接的には描かないことでありありと想像させて、見事。
豊かなドイツ、その周縁でBPOを推進することで「合理化」を推進するコンサル会社、という構図は「先進国」共通のものでは。一昔前の日本と中国、中国国内や東南アジアとの関係にも重なる。
より効率的に、生産性を上げていった先に何が残るんだろう。 人生って、幸福って…?
答えようのない問いに情緒に流れることなく、斜め上のシュールな冗談をぶっこんで醒ましつつ、美しい瞬間をきちんと描いていて素晴らしいと思いました。