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アメリカン・ハニーのとぽとぽのレビュー・感想・評価

アメリカン・ハニー(2016年製作の映画)
3.5
素直すぎて愚直なほど気持ちのまま動く(演じるサシャ・レーンはかわいいけど主人公の言動にたまにイラついたり心配したり)、誰かに聞こえるような狼の遠吠えみたいに夢は語るだけ♪We found love in a hopeless place~byリアーナみたいーーーータイトルは南部女のこと、らしい。彼女はテキサス出身の18歳で本名スター、カンザスに向かう胡散臭く怪しげだけどご機嫌なその日暮らし集団(実体はカルト教団みたいなヤクザ商売)に今の自分に無いものを見たのか、その"枠"からはみ出てそこの新入りとして自由を追い求め成長していく(女として生きてくという過酷な現実も)。ティーンらしく無鉄砲に荒ぶっていて直ぐ歯向かうし、直ぐ挑発に乗る。ヘンテコな外の世界に触れて理解できないまま知っていく。自由奔放さと今日一日を生きてくための責任の狭間、理想と現実のギャップ。何物にも染まりたくない、とか皆思っていても実際は何かしらの集団に所属しないと不安で自分一人では生きてけないわけで、それを象徴するような主人公スターの虫への扱いもメッセンジャーを感じて良い。あと、"自由"を託すように作中やたらと青空が印象に残る。太陽光が"私"を照らして全部明け透けにしてしまう。チーム071!こんな集団、端から見てる分はそんなすがり付くほど魅力的じゃないのに。あとここで掛かる音楽アメリカン・ハニー以外全部嫌い。
ポップなイメージとは裏腹にちょっとドキュメンタリーぽく貧富の差や育児放棄といったアメリカの実態に迫るという点では『フロリダ・プロジェクト』的とも言える。この監督の特徴とも言えるような自然体で時に鼻につく優れた演出で引き込まれていく自分がいる(けど尺の長さもあって途中から飽きてきたのもまた事実)。物珍しすぎて映画の題材としてそれだけで触手が動く仕事、この世にあっても無くてもいい商売道具。独裁者的女主人クリスタルの威圧的存在感が絶対的(だからシャイア・ラブーフが脚にクリームを塗るシーンは少し羨ましいようで、けどそれ以上に笑ったシュールすぎ)!男共も飼い慣らしてる感("性"セックスすら大人の階段で道具とスターが知るよう?)。『フィッシュ・タンク』の監督が2時間42分もかけて、この(絶対不要な)雑誌の訪問販売ロードムービーで描きたかったものって?やっぱり"少女の成長"ってことにはなるんだろうけど本作は特殊というか偏りすぎというか。少なくともここで描かれる生き方はしたくないし、できっこない。映画ってキャラクターに共感できることが全てなんて全然思わないけど、にしてもどいつもこいつもムカつくし意義深いかもしれないけど疲れる。

「寂しがる人は?」「いません」「採用よ」
「よろしく、ファックしよう」
「人はデス・スター(死の星)から作られた」
「やり方に納得できない」
「アメリカを征服した気分」
夢は?「聞かれたの初めて。家がほしい」
「自分は特別なつもり?」
「ジェイクにはボーナスをあげてる、女の子を勧誘したら100ドル」
TOMATOMETER78 AUDIENCE64
Critic Consensus: American Honey offers a refreshingly unconventional take on the coming-of-age drama whose narrative risks add up to a rewarding experience even if they don't all pay off.
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