フロントスカイ

BU・SUのフロントスカイのネタバレレビュー・内容・結末

BU・SU(1987年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

市川準監督の映画デビュー作。
家庭内のことで病んでいろいろあって、東京の親戚に預けられた高校生の少女が、周囲の人たちと関わりながら成長していく姿を淡々としたリズムと繊細なタッチで描く青春映画の佳作。

病んだ主人公が、周囲に馴染めず内向的で口数少なく無愛想な姿は見ていてハラハラさせる。
そんな少女が、あることをきっかけに殻を破り、ささやかではあるが一歩を踏み出していく姿が淡々と自然に描かれ感動した。
丁寧な人間描写と独特の空気感を感じさせる演出のなかで、富田靖子がこの難しい役どころを見事にこなしている。
また、田舎から都会に出てきた女子高生目線の当時の東京の街の情景描写をストーリーのなかに上手く挟み込まれている。

それまで閉鎖的で口数少なく無愛想な姿が多かっただけに、ラストの屈託ない爽やかな笑顔が際立った。

また、原由子の「あじさいのうた」とともに流れるエンドロールで、次から次へと映し出されるモノクロの富田靖子のアップがグッドでした👌