なっこ

わたしは、ダニエル・ブレイクのなっこのレビュー・感想・評価

3.3
貧困は、すぐそこにある現実

伝えたいメッセージは、極めてシンプル。彼らに与えられた筋書きは、とても過酷。それでも、よく生きる、ということをちゃんとこなそうとするとき、あなたならどう生きるのだろうか。

押し付けようとしない、静かな語りが印象的。

この語り口やラストは、もしかしたらこの監督や舞台設定にありがちなものなのかもしれない。けれど、違う国であっても、理不尽な法制度に振り回され、ただそれをよく知らないというだけで、蚊帳の外に追い出される人々がいるということを忘れてはならない。この時代を生き抜こうとするすべての人に彼の語りを聞いて欲しい。無関心になりがちな隣にいる人の人生に、もっと目を向けて欲しい、そういう風に語りかけられた気がする。

寓意的でとても美しいシーンがいくつかあった。違う目でもう一度見て、彼らの現実を一緒に生きたいと思う。
なっこ

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