このレビューはネタバレを含みます
ジョーカー、パラサイトと格差社会を主題にした映画が注目される中で、ドスレートに格差や役所の役割について疑問を投げかけ批判した作品。
「ジョーカー」というシンボルを用いたり、「半地下」という形で格差を表現したりと、独特の形で核心に迫る映画は見応えがある一方で、この作品は比喩ではなく日常をリアルに映し出すことで表現しているため心に刺さる部分が多かった。
「人には追い風が必要だろ」
ダニエルがケイティにかけるこの言葉が印象的。
苦しみを知っているから手を差し伸べてあげられる。どんなに厳しい状況でも自分の尊厳を守り続けたダニエルの頑固さは見習うものがあった。
高齢者ほど頑固な人が多くて、正直めんどくさいと思う時もあるけど、テクノロジーやネットリテラシーより大事なものを知ってるんだと思うと、尊敬しかなくなる。
木材を選ぶ姿や、木を削る姿からものづくりに対するプライドを感じて、自分の親や祖父が重なるシーンもあった。指が太いのに繊細な作業ができたり、頑固なのに優しかったり、自分の祖父世代の頑固親父ってなんであんなに惹かれるんだろう。すごい暖かさを感じる。
皮肉にも自分はIT企業にいるが、本来は困っている人を助けるための技術がテクノロジーの本質。そのことに気づけたのも大きかった。自分の仕事に対する意識が変わった。
何気なく選んだ映画だったけど、これからの生き方、考え方を変えるキッカケになった。
あと、プレミアリーグの話が出てきたのが個人的に楽しかった笑
ミドルズブラをディスったり、チャーリーアダムを馬鹿にしたり、プレミアファンにはたまらないシーンも良かった。