湯呑

お嬢さんの湯呑のレビュー・感想・評価

お嬢さん(2016年製作の映画)
4.5
私は未読なのだが、驚く事にほぼ原作通りの映画化らしい。ただ、舞台を日韓併合時代の韓国に移し変えた為に、サドと春画が混ざり合って何が何だか分からないエログロ感が生まれている。しかし、本作で描かれているのは去勢されたエログロである。確かに、男達の歪んだ欲望の玩具にされてきた女達の復讐譚という筋書きになってはいるが、その敵役の男達は女を犯すどころか、ただ女がポルノを朗読するのを聞いて喜んでいるだけなのだ。ラストで語られる「初夜」の真相から明らかな様に、この映画の女達は徹底的に男根(おもちゃみたいなちんぽ!)を拒否し、男根無き性愛に向かって逃走する。蛇や蛸の足、あるいはくわえタバコといった男根的メタファーから逃げた先で、鈴という球体が女達に快楽を与える。そこではちんぽがおまんこを犯す、といった従来の性愛が囚われていた支配的な関係が解消され、韓国人が日本人に、召使がお嬢さんに、女が男に反転する、全てが等しいシンメトリカルな空間が生まれているのだ。
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