【第69回カンヌ映画祭 コンペティション部門出品】
『ラザレスク氏の最期』のクリスティ・プイウ監督作品。カンヌ映画祭コンペに出品、アカデミー賞ルーマニア代表に選出された。
やってることは『荘園の貴族たち』と一緒。答えのない会話をひたすら長回しで捉えるだけ。正直面白いかと言われると全く面白くはない。
でもなんかこれを3時間観せられると一種トランス状態になってくる。面白くはないけど興味深くはある。観る価値がないかと言われるとそうは思わない。
最初はずっと何のために集まっていてどういう人たちなのか全く分からないけど、ようやく中盤分かってくると興味はそそられる。
ルーマニアの宗教や政治に対する個々人の違いが透けてみえてなるほどこれは評価されるかも。白い帽子のおばさんとかメガネの男なんかが極端な人物だけど、それ以外もそれぞれ信条は微妙に異なるのが分かる。
長回しのリアリティのある作品だけど、同時にブニュエル的な不条理感もある。永遠に食事できない。神父が来てから、とかみんな揃ってから、とか男性がスーツを着てから、とか色んな制約があって全く食事にありつけない。
3時間かなり退屈だけど、観終わってみるとこれはこれで貴重な作品なように思う不思議な作品。プイウ監督、非凡な才能なのは間違いない。