「別離」が好きだったので。
この監督の映画で迷いなく正しさの判別をつけるのは難しすぎる。
ほんっとうに人間の嫌な感情への着眼点が鋭い。
「別離」でもそうだったように、観てる側が絶対に正義だと信じ切った瞬間に、道徳心を揺さぶる要素を投入して「いやいや、よく考えてみ?」と冷静に鎮火させられる感じ。
夫の復讐心が燃えまくって攻撃性を帯びていくほど振り幅が強い。
そうして冷静になって思い返せば、そもそも住んでたアパートの工事がずさんでなければ引っ越さなくてよかったとか、部屋を紹介した友人も最初から前の住人のこと話せばよかったとか、終わった後に色んなことを考えてしまう、心地よい消火不良の映画だった。