ファルハディ監督の不安定さの安定感…
手法はあまり変わらないのに、また真実を読み違えてた。
面白かった。
今回は宗教による違和感(それが観たい理由の1つでもあるけど)はあまり見受けられず、純粋な人間ドラマという感じ。
襲われた妻、犯人を許せない夫、いつも通りに振る舞おうとするも不安で不安定になる妻、妻を気遣うもかみ合わずイラつく夫、知られたくない妻、泣き寝入りできない夫…
もしもあの時…という恋愛映画は切なくて美しくて大好きだけど、これはもしもあの時、何かが少しでも違っていれば、彼らの日常は平穏でいられたのに…という焦ったさ。
ラストに近づくに従って、私の心には疑問が浮かぶ。本当に犯人はこの人なのか?妻にした行為をその人が行えるだろうか?もしも違ったとしたら夫のした仕打ちは一体…妻が見たものは一体…
いつも通り丁寧に回収される伏線とあえて残された伏線。
モヤモヤするけど、好きだ。
日常に潜む歪みと怖さを思い知らされる。