おくち

セールスマンのおくちのレビュー・感想・評価

セールスマン(2016年製作の映画)
3.8
アスガルファルハディ監督の作品は初見だったのでなかなか理解するのが難しかったけど、アパートの倒壊、ラナが警察への通報を頑なに拒否する訳(姦通罪とな!)、タクシーでの描写(男性優位主義が絡む)、事件発生時の描写や内容を伏せる訳(厳戒な検閲)などさまざまなイランの社会的背景が映し出されているという事を町山さんの解説で理解することができた。

あと、夫婦が公演していた「セールスマンの死」やエマドが授業で見せていた「牛」という映画がこの物語に大きく補足的な要素で関わっていたなんて、、。
これはなんとも奥深い、、。
この映画を見る前に「セールスマンの死」と「牛」の内容をあらかじめ知っておくとよりこの映画の「暗示」が見えやすくなると思う。(先に知っておきたかった!)

監督がアカデミー賞の授賞式を欠席した件は、トランプ大統領への反発もあるけど、授賞式に寄せた手紙の「映画を通して違う国、民族、宗教を知る事ができる」という言葉がまさに当てはまる作品でした。

イランの現在を、色んなメタファーとして巧みに散りばめた良作だと思います。

あのメガネの男の子可愛かったなぁ。
「別離」も後追いで観なければ。
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