青豆

ブンミおじさんの森の青豆のレビュー・感想・評価

ブンミおじさんの森(2010年製作の映画)
4.1
遅ればせながら初めてのアピチャッポン作品鑑賞です(アピチャッポンなのかアポチャッピンなのかいつも迷ってしまう…)。
生と死の境目とか輪廻とかカルマといった仏教的な考えが自分は結構好きなたちなので、かなり興味深い作品だった。
この作品を観ていて、昨年即身仏を参拝しに訪ねた鶴岡の山中のことが思い出された。
分け入っても分け入っても…な山頭火的な感じで、思えばこのタイの森と似ているかもしれない。
全国的に見ても異常に多くの即身仏が集まっている鶴岡には、羽黒山、月山、湯殿山、通称:出羽三山と呼ばれる山があり、それぞれが現世、過去、未来を表していて、三山を巡る事は死と再生を辿る生まれかわりの旅であるとされている。
目の前で座禅を組みしずかに枯れている肉体に対し、強い信念のもと土中入定したその魂は、果たして肉体の死と同時に消失したのだろうか。その神秘的で境目の曖昧な存在に心が震えた。井上靖が即身仏に己を投影させた詩もあって、それが凄くいいんよね〜。
劇中では、生きていないものや人間でないものの存在が割と自然に受け入れられている。
この先ますます科学が進歩していっても、どうかいろんな不思議を解き明かさないで曖昧なままにしておいてくれ。
自分の趣味全開のレビューになっちゃった。
青豆

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