毛玉

LOGAN ローガンの毛玉のレビュー・感想・評価

LOGAN ローガン(2017年製作の映画)
4.3
職人ジェームズ・マンゴールドの硬派な一面が光る、愛され尽くしたウルヴァリンのラストラン

ミュータントがほぼ絶滅した未来で、自らの能力によって体を蝕まれて満身創痍状態のウルヴァリン。力のコントロールが難しくなっているプロフェッサーXを匿いながら、人から隠れるように暮らしている。
そこに、生まれるはずのない女の子のミュータントが現れる。彼女の求める地を探しに、ウルヴァリンは最後の戦いに身を投じていく。

個人的にX-MENシリーズに思い入れはなく、きちんと見たことがあるのはX-MENゼロくらいなもので、私はあまりウルヴァリンの活躍を熱心に追いかけてきた人間ではありません。
しかし、本作には感動しました。ほとんど内容がわからない僕でも、やはり子供と大人のストーリーにめっぽう弱い僕にぶっ刺さるような、普遍的な擬似親子のストーリーがありました。

ウルヴァリン役のヒュー・ジャックマンは最高で、歳をとって、アルコール依存と病に侵されていくギリギリの状態の演技が凄まじかったです。生きることに絶望して、女の子のミュータントにも興味を示さなかった彼が、最後に取る行動が胸熱すぎました。彼のラストのセリフ→ラストシーンは涙なしでは見られません。

ずっとウルヴァリンと女の子に対して、教えの父としての役割を全うしようとしていたプロフェッサーXもよかったですね。自分が不安定になっていくことに恐れを抱き、その力で多くの人を苦しめてしまうことを後悔しながら、ウルヴァリンや女の子に人生や幸せについて伝えようとする。あんな大人が近くにいたら良かった。

気を衒ったアクションやカメラワークは使わずに、シンプルな映像のパワーと展開の緩急で、硬派にウルヴァリンのラストを切り取ったジェームズ・マンゴールドにも拍手です。
X-MENを知らなくても、ひとつのドラマとして、そしてひとつの家族ものとしてとても良くできた映画でした。
大好きです!
毛玉

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