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LOGAN ローガンのこのレビュー・感想・評価

LOGAN ローガン(2017年製作の映画)
5.0
どうにもちょっと映画を観ないと頭がおかしくなってしまいそうな気分になっていて、めちゃくちゃ楽しみにしていた『美しい星』の上映スケジュール観たらもう朝しかやってないやん!と絶句して、でも何か観なければ…今はミニシアターの気分じゃない、シネコンで映画が観たいなおかつ洋画が観たい…という気持ちで他の作品を観てたら1番すぐ観られるのが『ローガン』だったからすぐ家を出て劇場に駆け込んだ。8〜9割ほど埋まってて、となりは恐らく女子高生グループだった。

ウルヴァリンシリーズやXMENシリーズも一切観たことがないぼくでしたが、全く問題ありませんでした。もちろん事前知識があればローガンとプロフェッサーXの関係性とかもより分かったと思うのですが、映画の中でもある程度設定は分かるようになっているので問題ないです。

そして…大傑作なのでしたこの映画…。素晴らしかったです。とにかく重く、辛く、痛みを含んだ映画でした。ローラが初めてその猛威を奮うシーン、泣くシーンじゃないんですけど「ああ、なんて良い映画を観てるんだ俺は」とそれで泣けました。人を殺しまくるかわいい少女と言えば『キック・アス』でクロエ・グレース・モレッツが演じたヒットガールなわけですが、彼女も辛い過去は背負っているもののその風貌のキャッチーさやシャレの効いたセリフ、工夫に溢れるアクションなどで楽しませてくれたのに比べて、ローラのアクションはもちろんすごい(というかそのエグさはヒットガールを余裕で超えている)のだけれど、「うわー!」と言葉にならない言葉を叫びながら闘うローラの姿には悲しみがあふれていて…泣けました。

ローラのことばっか書いたのですが、本当にとても良い、素晴らしい映画を観たのだな、そして久しく忘れていた、「あ、俺こんな映画好きだったんだわ」という感情も思い出させてくれました。しばし言葉が見つかりません…。

追記
劇中にも西部劇の傑作『シェーン』が流れたり、監督がインタビューでクリント・イーストウッドの諸作品からの影響に言及したり、とにかく「アメリカ映画である」という印象が色濃く出ていました。あの砂埃然り、プロフェッサーXが閉じ込められてるあの空間然り、列車や、黒人一家、トウモロコシ畑など…。70年代ニューシネマの「主人公が勝たない、敗北の物語」であるところのアメリカ映画の匂いが際立っていたように思います。
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