ローガンはスクリーンに立ってから17年。とてつもなく長い。
本作を観るのなら、もう一度見直すか、やはり短期間で前作をすべて見る、のどちらかを済ませておいたほうが良い気がします。
138分という長さを知ったとき、こりゃあ嘘だろう…いくらなんでも長すぎだ…とほぼ絶望。120分の映画だって、引き込まれない映画は本当に置いて行かれる。スクリーンの端っこ、うつらないところに放り出された気分になることもある。
このローガン、すごい。体感時間、1時間。展開、スピード、全てが世界に引きずり込んでくれる。始まった瞬間から、私は2029年のアメリカにいた。
説明がなかなか無い作品のため、ローガンの治癒力、老化、ミュータントの状況、チャールズの体調について、ほぼ「見たまま」で想像するしかない。これがまた、色々な想像をさせられてしまう原因。
どうしてこうなっているのか、何が悪いのか。
もちろん終わりではきちんと説明されるわけですが、ここが面白い。最後まで観客の「なぜ」を掴めた作品だったと思う
チャールズもローガンも、時を経て柔らかくなっているのが一番うれしくもあり、寂しくもあった。
私は結末に納得できる・できない、ではなく、これが結末だ。と最初から知っていたかのような感情で劇場を後にすることができた
どうしてだろう、涙すら流れなかった。
夕食をとりながら、学園の話をしているプロフェッサーとローガンの表情。ふたりが、本当に思い出しているその風景。X-MENであったころの、ふたりの思い出。回想シーンなどないのに、私の中にはそれが見えた。
ここだけ。ここだけ、めちゃくちゃ泣いていた。
劇場で見られてよかった。