詰まるところ、ストーリーにしても打ち出されるメッセージにしても、どこかで聞いたことがあるような、悪く言ってしまうとありきたりなものである。ようは、何でもない日常が実はとてもかけがえのないまのなんだよ、ということである。もちろん他にも描かれているもの、観客が観たものから何を汲み取るかは自由なので他にどんな感想を抱いてもいいのだが、大方そういうメッセージが込められている、と感じた。
今作が優れているのは、「ありきたりな日常がかけがえのないものである」ということを理屈ではなく映像で語ることに成功していると思う。お弁当とか写真とか服装とか仕草の細部の描写を丁寧に丁寧に描くことであ、この人たち本当に生きてるんだなと感じさせられる。監督の眼差しは優しい。フォトアルバムの使い方もとても品を感じた。『あまちゃん』のジオラマ的手法が再び使われるとは。
今作は女性のリピーターが多いとのことだが、観て納得。女性の感想が知りたい。
