ウォーボーイズ2024

ハクソー・リッジのウォーボーイズ2024のレビュー・感想・評価

ハクソー・リッジ(2016年製作の映画)
5.0
戦場での負傷者や死体の描写が、容赦無いほどリアルでグロテスクに描かれていて、観てて本当に戦場は恐ろしいものなのだという事をつくづく思い知らされる映画でした。
その中にあっても、主人公の絶対に曲げない信念に感動させられました。

過去のトラウマもあって、決して銃に触らないと誓った主人公・ドス。
当然ながら、入隊した部隊では過酷なイジメに合い、あげく軍法会議にかけられ刑務所に送られかけたりします。

信念が大切なのは分かるんですが、それでも僕も劇中の人物たちと同じく、情けない奴だ。と思ってしまったりしましたが…

これが、映画後半の戦場に舞台が移ると、カッコよく見えるんです。

武器も持たず、ランボーみたいに敵を倒すわけでも無い。ただひたすら戦場で倒れた兵士達を助ける為に、駆けずり這いずり回る。
それが他のどんなに優秀な兵士よりもカッコよく、勇敢に見えました。
彼の勇敢さは、まるで盾持ってないキャプテンアメリカみたいでしたね。
多少不謹慎ですが、特に手榴弾蹴り返すシーンはカッコよかったです。
観てて、まるでヒーロー映画の様な印象も受けました。

しかも、これが実在の人物だという事に驚かされます。

映画前半では、主人公の幼少期から何故、銃を持たない、という信念を持つに至ったのかが語られるのですが、田舎の純朴な青年としての日常パートなんかでは、笑えるシーンも多いです。
デートの時の女心が分からない突飛な行動とか。
あと、軍隊に入隊してすぐのシーンでは、フルメタルジャケットを彷彿とさせる鬼軍曹の罵倒があったりして面白かった。
ハリウッドの全裸訓練とか、ナイフ投げのくだりなんかも。

でも、ディア・ハンターしかり、こういう楽しい日常パートが前半にあるからこそ、後半の戦場パートでの感情移入が高まって、悲しい気持ちになるんですけどね…

あと、アメリカ軍視点から見たら、当時の日本軍はほんと恐ろしい存在に見えましたね。
死を恐れずに特攻するなんて、改めて考えてみても、正気とは思えないです。
ただ、本作の中では単純な悪役としては描かれず、あくまで強敵という風にフェアに描かれていたのは誠実だと思いました。

私生活はアレでも、メルギブはやっぱすごい。